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【石棺】チェルノブイリ原発事故の現在と放射線の恐ろしさ

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チェルノブイリ原子力発電所事故の年に生まれた俺がヤバさを語る

 いわずと知れた世界最大規模の原子力発電所事故。
1986年4月26日にソビエト連邦(現:ウクライナ)で起き、4000~数万人(諸説あり)の死者を出した、まさに「大災害」と呼ぶに相応しい事故。
その影響は世界中に飛び火し、今もなおこの事故に関しての対応は終わっていない。

 概要としては、原子力発電に必要な燃料のウランの核分裂を制御できずに暴走し爆発・同時にそれらを封じ込めていた格納容器なども吹き飛び放射性物質が大量に空気中に飛散するという、我々日本人も他人事とは思えない事故である。
ちなみに福島第一原発の事故もコレと同等のレベル7(深刻な事故)に分類されている。大丈夫か日本・・・

ちなみに俺は原発反対派ではないことを公言しておく。推進派でもないけど




見えない怖さ

 原発事故の何が怖いって、見えない放射線を大量に浴びるリスクがあることだろう。
これが塩酸や硫酸、毒ガスなんかであれば、触れなければいいし、蒸気などを吸わない場所に移動すれば良い。
風によってはかなり広範囲の汚染が危惧されるが、範囲の特定も比較的容易だし、身体への異常も発覚しやすい。(一部ジメチル水銀なんていうヤバいものもあるが)

 しかし放射線は症状もすぐは出ず、被曝している自覚もない。
何時間、何日間も気づかず放射線を浴びまくってるかもしれないのだ。熱湯に触れた時みたいに「あっつ!」ってなれば気づくのも早いのに

放射線にもアルファ線やベータ線、ガンマ線や中性子線等、色々種類があるがどれもヤバイ。「この放射線は浴びても平気」なんつー確固たる基準もない。
そりゃそうだよね、日常生活で出会う事故リスクなんてごまんとあるけど、確実な回避方法なんてないもの。仕方ない

 放射線を浴びると危険っていうのは、放射線がエネルギーをいっぱい持っているからなんだな。
俺らがいつも浴びてる電気の光なんかとは比べ物にならないエネルギー量。太陽の紫外線なんかもエネルギー量がでかい。

赤外線とかはあからさまに「あっつ!!」ってなるけど紫外線はそうはならないのは何故か? それは赤外線と紫外線の光子(光の粒子)1個あたりのエネルギーが違うからである。(紫外線>赤外線)

細かく語ると「温度とは何か」と言う話も含めスゲエ文字数になるので割愛するが、赤外線は「あたためる」紫外線は「ぶっこわす」と言う感じ。 そして放射線は紫外線よりエネルギー量も大きく、生体への影響も著しい。

 一部放射線の特性を話すと、「電離作用」というものがある。みんな中学生とかで「電離」って習ったことがあると思うんだけど、原子や分子がイオン化して異なる化学特性を持つこと。
めっちゃ噛み砕いて言うと、放射線はその高エネルギーで物体の電子(中性子は陽子)を弾き飛ばしたりして、イオン化させてるんだな。

放射線で強制的にイオン化された状態は不安定でどうにかして安定しようと体内のほかの物質(酸素など)と化学変化を起こして安定するんだけど、結局人体にとっては当たり前にあった物質がなくなってしまうんだから、破壊されたのと同義ってこと。原子や分子もやっぱり自分たちが一番大事なのね

そんなことが放射線を浴びた箇所のあちこちで起こってるんだからそら体調も悪くなるわって話。

  • アルファ線:紙とかで防げるレベル。皮膚(表皮は死んだ細胞)なんかに当たっても内臓まで行き届かないので割と平気。しかしエネルギー量が多いため、放射性物質を粘膜や内臓に取り込まれると危険。電離作用がベータ線ガンマ線なんかより強い=当たると生体への影響もでかい。ヘリウム(He)原子核が超高速でぶつかってくるイメージ。

  • ベータ線:アルファ線より透過力が高いがアルミ箔とかで防ぐことが可能。福島原発の水溜りでベータ線熱傷になった作業員は記憶に新しい。こちらも内臓や粘膜での被曝は危険。電子が超高速でぶつかってくるイメージ。

  • ガンマ線:透過力が非常に高く分厚いコンクリートや鉛などがないと遮蔽できない。電離作用は弱いので短い時間での生体への影響は少ないが長期間浴びると大変。高エネルギーのガンマ線は一瞬でも大変。前二者が粒子だったのに対し、こちらは乱暴に言うと電波。

  • 中性子線:高エネルギー粒子線で透過力がめちゃくちゃ高く、ほとんどの物質を透過する。電離作用はないが、水(水素原子)に対してはわずかな厚みで止まってしまうため、ほとんどが水でできている人体及び細胞へのダメージは著しい。

ものっそいざっくりした放射線の解説だけど、要は小さな物がピストルの弾よりも高速で向かってくるってこと。とにかくそのシチュエーションによって危険度は変わるから「これが危険!」なんて確定事項はないわけだ。浴びないのが一番!

チェルノブイリや福島ではこの放射線を放つ物質、所謂「線源」が格納容器の爆発で撒き散らされたわけだ。ぶるぶる



放射線障害の怖さ

 放射線を浴びると人体が破壊されるというぶん殴ったような説明を前項でしたわけだが、実際は細胞の小さな小さな世界で起きている。
しかし人体に何十兆とある細胞の色々な部分で起きていたりするので、それはもう大変。マイク・タイソンに殴られるのもヤバイけどもっとヤバイ。

 人体(細胞)と言うのは常に生まれ変わっている。古い細胞は死んで、新しい細胞はまた分裂し新しい細胞を作る。生きていくためにはそういうお仕事が体内で絶えず行われているのだ。
んで、その細胞分裂や成長なんていうのは、通常DNAっていう設計書っつーか手順書に従って行われるんだけど、放射線はそれも破壊する。
・・・と、言うことは、新しく入社してきた細胞ちゃんたちは、手順書がめちゃめちゃなのできちんとした細胞を新たに作ることができなくなるのだ。

 そうなるとどうなってしまうか? 少し考えてほしい。皮膚なんかの細胞は死ぬと表皮に「垢」として出てくる。普通の人間ならば絶えず新しい皮膚も作られてるので問題ないが、被曝してその機能を失ってしまった人はそうはならない。
延々と細胞が死んでいくだけ・・・となると???
表現は色々あるが一番近いのは「溶ける」だろうか。

死に続ける皮膚細胞はどんどん内側が露出して行き、生皮剥ぎ取ったようなむき出しの真皮が出てくる。当然水分を体内に留めていた表皮はすでになくなっているのでそこら中の皮膚から体液が漏れ出す。脱水症状どころではない量のね

 しかも意地悪のような事実だけれど人間の脳みその神経回路なんかは細胞分裂を行わない。ということは痛みやなんかの神経はしっかりしているので苦痛をずっと感じられるまま。
意識ははっきりしたまま、自分の肉体が朽ち果てていくのがはっきり分かるってこと。考えるだけでも恐ろしい・・・東海村での事故は延命治療をしたためにこんな地獄を味わった人がいる。
この行為の是非はまた別の話なので言及しません。もちろん放射線障害にも軽度重度があるが、ここまで来ると拷問だ。


当時は危険な作業に対する周知がなかった

 今、放射線の危険が一般的に浸透してきた日本だからこそ「除染作業!? 被曝したら危険じゃん!!」ってなるけどこの頃のソ連はそんなこと気にしない。
どんな読み物を漁っても「ちょっと原発火事みたいな感じだから消すの手伝ってくれ」みたいなノリ。もちろん作業員も具体的な放射線の危険性なんて知らないから行っちゃう。知らないってホント怖い

 「汚染物質がある」程度の情報からなのか、作業用の全身をカバーする服が与えられていたが、猛烈な放射線を放つ線源を間近に見て作業する人たちにとっては裸同然。
そんな感じだから作業に出た人たちはバタバタ倒れていく。結果消防士31人が殉職、その他多数が急性放射線障害。

 また、火事の野次馬よろしく約1キロ離れた橋へ多くの人が様子を見物に来たわけだが、これだけ離れていようが関係はなく、放出された線源からでた放射線をしこたま浴びたそうだ。



事故を収束させた「石棺」も朽ちはじめている

 事故当時に多数の犠牲を払って事態を収束させ、炉心を封じ込めた「石棺」というコンクリートの塊。実際に左官屋がきちんと設計して作ったわけでもなく、当時の産業用機械で遠方から指示を出し作ったものなので応急処置感は否めず、尚且つ耐用年数が30年と言う今年リミットの代物である。

しかも当時作業中に亡くなった人や調査で中に入った人々の遺体は高い線量のため搬出できず、何世紀かはそのままにするしかないと言う。遺族とか、お葬式とかのレベルを超えている。

 高温の放射性物質が溶け出し、その見た目から「象の足」と呼ばれる禍々しい形をした物体があるが、その線量は凄まじく、近づけば1時間に80~100シーベルト被曝する。人間は1時間に7シーベルトでほぼ確実に死んでしまうので5分そこら近くにいるだけで確実に死ぬ。
しかも即バターン! ではなく、前述のように身体の機能を徐々に奪われながらということ。確実に待っている地獄がそこにある。(急性放射線障害)


ロボットでの作業も問題が

 人間よりロボットの方が放射線に強いというのは間違っていないが、あくまでも「より」の範疇。
放射線は強力な電磁波であるとともに、先述の電離作用があるので半導体やデータが書き込まれた記憶媒体などがそれに耐えられない。
だからと言って遮蔽のために大型化したら炉心内部に入っての作業ができなくなるし、遮蔽物で遠隔操作の電波も届かない。

こうなったら破壊覚悟で自律した作業のできるロボットの登場を待つばかり。それはそれでかわいそう・・・


ウラン燃料の半減期は億年単位

 放射性物質にはその物質自体が放射線を出す能力(放射能)が半分になる基準となる年数がある。物質によってその年数は様々で、福島の事故で有名になったヨウ素131は8日なのでもう大丈夫であるが、セシウム134は2年、セシウム137は30年である。

核燃料の主要な物質であるウラン235は半減期7億年、ウラン238は45億年で俺ら人間からすればもう永遠と同義である。しかも約50億年で太陽が地球を飲み込むほど膨張するらしいから、太陽がぶっ壊れてもチェルノブイリや福島からは危険な物質が放射線を放ち続けている。

もちろん既存の原発も同じことが言えるが、事故を起こした場所とそうでない場所の線量は比べるまでもないからなあ。

 こういうことを調べるたびに「人間はとんでもない技術に手を出しちまったなぁ」と思う反面、今の便利な暮らしはその技術に支えられてることも実感する。




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